2012年01月29日

多摩ニュータウンでの買い物事情

多摩ニュータウンは高度成長期に膨れ上がる東京都心の人口増加への対策として、多摩丘陵を切り開いて作られた日本最大規模のニュータウンです。

開発当初は近隣住区論というものに沿った都市計画がなされていたのですが、初期開発から40年以上が経過した現在、当初想定していた世代の入れ替えが思うように起こらず、住民の高齢化に悩まされ始めているとともに、駅前のショッピングモールや新規拡張先に計画された大型店舗が乱立するようになり、各住区の商業の中心であった商店街では閉じる店が増え、いわゆる“シャッター商店街”が多くなっています。
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以前お話を伺った30代後半の多摩で育った方は、すでに卒業した小中学校は両方とも廃校になっており、子どもの頃に立ち寄っていた商店街も当時賑わっていた面影もないくらいに変わってしまったと言っていました。

身近にあった商店街を失った住民は、少し離れたスーパーや大型店舗へ買い物に行かなければいけないわけですが、もともとは丘陵地だったところを切り開いた土地のためその高低差は激しく、今となっては高齢者にとって厳しい移動環境になってしまっています。
またホームセンターなどの大型店舗も多くは車での移動を考えた構造になっているため、車の運転も難しくなってきた高齢住民にとっては非常に厳しい居住区域となっています。

ただこの多摩ニュータウンの持つ雰囲気なのですが、僕は他国はデンマークだけしか知りませんが、街を歩いているとデンマークのニュータウンのもつ雰囲気と似ていると感じることがよくあります。
デンマークは多摩ニュータウンほどに土地の高低差はありませんが、多摩ニュータウンの建物の配置や都市の形状など、おそらくヨーロッパのニュータウン計画などを参考にして多摩ニュータウンが作られているからだとは思うのですが、とてもよく似ています。
そして近年になっての巨大なショッピングモールや大型店舗などの出店などの状況も同じだと思います。

両国でのニュータウンの雰囲気で違いを挙げるとすれば、デンマークには日本のように24時間開いているコンビニがない、町中には自動販売機がない、そこかしこに子どもを相手にした学習塾がない、ということぐらいでしょうか。
あとショッピングモールに関しては、デンマークは冬の寒さを考慮して光を多く取り込むような屋内アーケードの形状になっているところが多いように感じます。
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逆に多摩ニュータウンなど日本の郊外などは、広大な敷地の中に複数の大型店舗が建ち並ぶ、屋外型の形態が多いように感じています。
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しかし多摩ニュータウンとデンマークとの間で大きく違うのは、デンマークの郊外の街などでは多摩ニュータウンほどに商店街が寂れていない、ということです。
もちろん日本と同様に、大型店舗が進出してくることで地元の商店街は影響を受けることはデンマークでも変わらないと思うのですが、デンマークの郊外の街の中心にある商店街では、日本のように空き店舗が続いているところをあまり見かけません。

そのため散歩に出てもウィンドウショッピングなどそれなりに楽しめますし、人の流れやショーウィンドウの変化などによる季節の移ろいを感じることも出来、そんな商店街を散歩する高齢の方の姿もよく見かけます。
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多摩ニュータウンのように身近な徒歩圏内の商店街が寂れてしまい、歩いていても目にするのは40年で成長しすぎた木々や子どもの姿のない公園、寂れた商店街などと楽しさをあまり感じられない環境になると、散歩に出る楽しみも半減してしまうのではないでしょうか。

デンマークを始め北欧の福祉や高齢者に配慮した社会政策を参考にしたいと今でも多くの日本人が毎年のようにデンマークや北欧を訪問見学をしていますが、その多くは上辺だけの状況を総合的な優れた状況と捉え、住民主体の生活面からの視点や地域の環境をきちんと見ているのか、僕はいつも疑問に感じています。

デンマークの福祉が優れていると思い、そんな福祉社会を見習いたいという想いや熱意を否定はしませんが、それらを本当に参考にして日本に役立てたいと思うのであれば、制度や高齢者を取り巻く住まい環境だけでなく、高齢者が暮らす街や彼らの日々の生活にも注目したほうがよいと思います。
高齢の方が散歩など表に出ようと思わせるような公園や商店街などの都市環境の整備を、福祉が専門だからそれらは専門外などと言わず、日本でも考えていく必要があるのではないかと、僕は日本とデンマークとを両方見続けている中で、常々思っているのです。
難しい問題ですけどね。
posted by Coyama at 22:16| 多摩ニュータウンのこと