2012年05月18日

グリーンランド研究 − イヌイット文明 −

紀元前4500年頃までカナダとグリーンランドは巨大な氷で覆われて繋がっていました。最初の住民たちは紀元前2500年頃にグリーンランドの最北端に辿り着いたとされています。
その後2〜300年の間に、島の氷で覆われていない部分は旧エスキモー人として知られる北極の狩猟民族の居住地となっていきました。そして徐々に気温が暖かくなり氷が解け始めると、人口も増えていきました。
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△ グリーンランドの各文明の年代別存在表

北極の狩猟民族は群れで移動する習性のあるジャコウ牛やトナカイを追って移動していました。アラスカからグリーンランドにかけて見つかっているこの時代の骨や石で作られた道具からは同類の文化的特徴を見ることができます。
紀元前2000年頃のグリーンランドでは北部のジャコウ牛の狩猟民俗である独立第1文明と、南部のアザラシやトナカイの狩猟民族であるSaqqaq(サカク)文明が混在していました。

紀元前1000年前の少し前に、カナダから独立第2文明と呼ばれる新しい移住者がやって来ます。この時代を示すものは唯一島の北部だけで発見されています。そしてその後はドーセット文明が500年続き、このドーセット文明はカナダの極東であるニューファンランド地方からグリーンランドの海岸に沿った一部で発見されています。
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△ イヌイットの移動の民の暮らしの様子

ドーセット文明は途中で一度グリーンランドから姿を消しますが、1200年頃まで存在し、アザラシ漁とトナカイ猟で生活をしていました。この時代の多くの工芸品や彫刻などが発見され、現在でも町の博物館などで見ることができます。

10世紀の終わりに北半球に大規模な環境変化が起こり、島の気候は若干暖かくなりました。カナダ諸島の周辺を覆っていた氷は姿を消し、ヒゲクジラたちはエサを求めて移動を繰り返しました。

現在のグリーンランド人の祖先はこのヒゲクジラを追って12世紀頃に北アラスカの東から大きな皮の船(ウミアク)に乗ってやってきたテューレ文明のクジラ漁民族でした。そしてほぼ時期を同じくして、ドーセット文明はグリーンランドから姿を消しています。
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△ グリーンランドへの民族の移動図

1721年にノルウェーからの使節団が来るまで、土地の人々は狩りと漁で小さな集合体として分散して暮らし、獲物となる動物たちの移動と共に移住をくり返していました。
彼らは石や泥炭やシベリア付近から海流に乗り運ばれて来た流木を利用して建てられたテントや小屋に住んでいました。
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△ 芝屋根の住居
posted by Coyama at 22:11| グリーンランドのこと