2012年03月14日

ヨーロッパ中世の建物事情

今日の内容は少し汚い話になりますので、お食事中の方はお食事を済ませてからご覧ください。

みなさんはデンマークの首都コペンハーゲンのような、ヨーロッパの中世から今に残る町並みを歩いていて、建物の1階の床が地上のレベルと合っていないことを不思議に思ったことはありませんでしょうか?
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コペンハーゲンにあるマンションなどは、半階上がったところが1階になります。
地面から基礎部分を上がる、階段で2〜3段程度上がったところが1階の床ということであれば自然にも感じますが、半階上からというのはかなり高い位置になります。

今でもほとんどの建物がそのような作りになっているので、コペンハーゲンなどのアパートに住んでいると当たり前に思えてしまうのですが考えてみると不思議です。
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半階上げることに、どんな意味があるのか。
その答えは、本当かどうかはわかりませんが、一説によると中世の時代の道路事情に影響していると言われています。

コペンハーゲンなどの都市などは、第二次世界大戦などでも空襲など襲撃を受けず、19世紀にスウェーデンと戦って船上からの砲撃を浴びた程度で、都市が壊滅したといった経験はなく、中世からの町並みが現在でもほぼそのまま残されています。
もちろん内装は時代とともに改築されていくのですが、建物の外観や作りはほとんど変わっていません。

また建物の外にある道路は石畳が敷き詰められ、現在のその町並みは非常に趣のある風情を醸し出しています。
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ところが、実は建物の1階が半階の高さから始まるのには、この道路が原因とされているのです。

当時から、人々は交通手段として、自分で歩く以外に馬に荷台を引かせた馬車を走らせていました。
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しかし当然この馬車を引っ張る馬は生き物ですので、排泄をします。
街中の道路には、いたるところに馬の糞が落ちていました。
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最初の頃はまだこれらを町の周辺部にあった畑に持って行き、肥やしに出来たから良かったのですが、人が増え都市が広がると畑は中心街からどんどん離れていき、さらに馬の数が増えていくと馬糞の量も莫大に増え、馬糞の運搬業も手一杯となり、街中は馬の糞で溢れ返るようになるわけです。

馬に接する機会がある方であればご存知だと思いますが、1頭の馬が一日で排泄する糞の量は10kg弱と言われ相当な量があり、馬糞置き場などはあっという間に糞で満たされます。
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そしてこれが夏になると強烈な臭いを発するようになります。
また雨の日には水や土に混じってドロドロになり、道路に広がります。
今でこそ道路は下水などの排水も整備されていて清潔さを保っていますが、中世の時代、道路の排水はそれほどよくは整備されていませんでした。
ですので雨の日など馬糞と混じった水は道路に接する建物にも流れ広がり、建物内にも染み出てきたわけです。

ここまで書けば想像がつくでしょうが、このために建物の1階部分を半階上げて建設するようになったわけです。
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そして現在では街中に馬も馬糞もなくなったわけですが、建物の構造は変わっていないため、古くからある建物は、半階から1階が始まる作りになっているのです。

もちろん他にもいくつか別の理由があるでしょうし、古い歴史のことになりますのでこれが真実かどうかは今となっては誰にもわかりませんが、おそらく様々な状況から考えても、あながち間違った説ではないと思われます。

建物だけを見ていたらわからない、風土や歴史を知ることも大事なことだと気づかせてくれる、いい例ですね。
posted by Coyama at 16:41| デンマークのこと